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食品包装は安全で食べやすく開けやすい

プラスチックフィルムを使用した食品包装の始まりは、基材のセロファンにポリエチレンをラミネートした「ポリセロ」と呼ばれるものでした。その後プラスチックの弱点とされていたバリアー性や強度など各種機能が改善された素材開発が各メーカーで急速に進められていきました。素材の機能向上という開発テーマと並行して開けやすさを示す「易開封(いかいふう)性」についても根強い要請があり、ユニバーサルデザインという時代の流れも加わって開発に拍車がかかったと言われています。これら一連の食品包装に求められる「安全」で「食べやすく」「開封もしやすい」といった総合的な機能を満足し注目され始めたのが「方向性フィルム」と呼ばれるものです。この方向性フィルムは話題性もさることながら、潜在需要も見込めるとあって一気に熱い視線が注がれるようになってきています。

プラスチックフィルム包装も易開封性へ

プラスチックフィルムを使った軟包装では、密封性を重視して考えられてきたため、最終ユーザーの開け易くするという「易開封(いかいふう)性」と呼ばれる機能に十分配慮されてこなかった傾向がありました。とりわけ、食品に対する包装では変質防止という大命題があるためバリアー性を確保・維持するため、流通段階などでは簡単に破けない方法をとらざるを得なかった事情もあります。また、食品以外でも包装されている中身がすり替えられるといった「改ざん防止」という機能も必要となってくるため、同様に開封のしにくい頑丈な包装が求められるということもありました。このようないろいろな事情があったものの、やはり消費者の立場に立った「物づくり」という時代のながれは止めようもなく、徐々に易開封性に視点が向けられるようになってきました。

易開封性を達成した「リングカット」

バリアー性を重視していた食品包装が、開けやすいという「易開封(いかいふう)性」にも取り組み始めてからは各種の方法が考案され商品化されていきました。なかでも。スティック状の包装に使われ始めたのが「リングカット」と呼ばれる技術です。同じような開封方法はたばこの箱でお馴染みの「ティアテープ」があり、これは細いテープを包装の周りに沿って引っ張って開けていくものです。これと同じような方法が採用された代表的な食品が羊かんで、中身が崩れることなく容易に開封できるとあってすっかり定番となった開封方法と言っていいでしょう。その他、ハムやかまぼこといった食品に使われるようになった「マジックプル」という開封方法は、周回のテープタイプではなく、タブを引くことで包装の表側だけが裂けるタイプです。

ラミネート構造を活かした易開封技術

食品に限らず軟包装という柔軟性ある包材で行われる包装は、バリアー性とともに「易開封(いかいふう)性」と呼ばれる「包装の開け易さ」も求められるようになってきました。プラスチックフィルムを使った包装材が登場しはじめた頃は、開封するのに苦労したのは遠い昔と感じるほど今やテープカットやノッチと呼ばれる切り欠きで簡単に開けるのが当たり前のようになっています。マジックカットはシール部に微細な穴を明けることでシール部のどこでも割くことができるもので、そのほか基本原理はおなじ「FCカット」「マジックオープン」といった易開封技術を使った商品が次々登場しています。FCカットやマジックオープンはプラスチックフィルムのラミネート(積層)構造を上手に利用したもので、表層フィルムの全面に微細な穴加工を施すことで、まさに「どこからでも」開封を可能とするものとなっています。

どこからでも開封容易なマジックカット

プラスチックフィルムなどを使った食品包装材は、開封しやすくするという工夫がいろいろ施されており、身近な例では「ノッチ」と呼ばれる切り欠きの付いたタイプがよく知られています。このノッチには、切り欠き形状によってI・V・U・ベースといった名称を頭につけられており、オーソドックスなのが袋上部の左右につけられたノッチで横断状に裂けるものや袋の上部にあるノッチで縦に割けるタイプです。また、「マジックカット」と呼ばれる易開放(いかいほう)技術はチケットの半券からヒントを得たと言われ、特許取得後自社で独占するのではなく広くライセンス供与したことで一気に広まったとされています。マジックカットは袋に微細な刃で等間隔に数多く穴を開けたもので、調味料をはじめ幅広い分野で活用される画期的な技術と言われています。

サステナビリティは大きな要素

包装にとってサステナビリティはとても重要なものとなります。サステナビリティという考えは消費者にとって大きな購入動機になってきているからです。そのことをどう理解するか。さらにミレニアルズ世代の購買層は、昔からのブランドにはこだわりません。サステナビリティは企業の社会的責任という枠組みの中だけで捉えることのないようにしなければなりません。環境対策あるいは企業の姿勢だけではなく、社会や環境に対する成果を求めながら、経済的価値を生み出すためのビジネス戦略としていくのです。2007年から始まったウォルマートの包装のサステナビリティの取り組みは、環境負荷をできるだけ下げるようにしました。その結果、2007年から2012年までの間に、パッケージ生産によって発生する温暖化ガスを削減し、目標達成することができました。

小売業に影響を与える勢力とは

小売業はミレニアルズ世代をターゲットに戦略を立てています。包装業界であれば直接のお客様である消費材メーカーの身になって考えないといけないということです。また、消費財メーカーであれば、そのお客様にあたる小売業の会社がどういったニーズを持っているか、どういったことを求めているかという理解をして対応していくことが重要といえます。小売業の50年を振り返ってみれば、2000年代、2010年代に小売業が影響を与えるに至った新たな勢力の登場がありあmした。2000年代には、メーカーと小売業との間に始まった直取引が仲介業者の排除につながりました。さらに、ネット通販の台頭ならびに携帯端末の技術革新が小売店舗のショールーム化を促しました。同時にショッピングモールや有名百貨店の衰退の兆候が始まったと言えるでしょう。

食品の腐敗や劣化を検知する包装

1987年に書かれた「21世紀における包装技術予測」(日本包装技術協会)という中には、ガラスと同等のバリア性能を有した可撓性のあるプラスチック材料の開発やネット社会におけるホームショッピングのように、完全に実現化されたものがいくつかあります。

また一方で、ニーズはあるものの、いまだに陽の目をみない技術もいくつもあります。そのうちのひとつが「食品の腐敗や劣化を検知し、色の変化で示すバイオセンサー」です。

腐敗によって発生して異臭のもととなるさまざまな揮発性成分を自動的に検知するといったもので、腐敗によって発生する異臭の元を検知したら色の変化を起こしたり、場合によってはバーコードを消滅させたり、読めないようにして、賞味期限を目視で認識できるようになれば良いという漠然とした発想のものだったと言います。

需要の高い紙包装

機能性を持たせた段ボールのバリエーションは多く生み出されており、水産物などに有用な撥水・耐水性能、野菜や果物などの成果物に有用なエチレン吸着の機能を持った鮮度保持性能、精密機器に有用な防錆・伝導性能のものなどがあります。段ボール以外にも生活の中で需要の高い紙包装はカートンと呼ばれる紙箱、紙コップ、紙パックと称される液体紙容器などです。

カートンは様々な商品が入っている紙製の外箱のほとんどを占めており用途に合わせて形態が異なります。また液体紙容器は、低温で流通されているものは紙の両面をポリエチレンでコーティングした3層構造、常温流通のものはアルミ箔を使用し酸素・光線を遮断させた5〜6層構造で作られており、野菜ジュースやお茶などに使われる紙缶は紙管を利用して作られています。

薬品の包装

私たちが薬品を安全に使用できるよう、厚生労働省では1年間の長期保存に耐えられるかなどの安定性試験ガイドラインが定められ、酸素や光線、湿度、温度などによる劣化を防ぐことができる包装で薬品を保護しています。薬品の種類によっては酸化防止剤を一緒に封入したり、ハイバリアーフィルムを使った密着包装や窒素充填による置換包装や脱酸素剤の封入などは物理的に酸素をパッケージ内から減らすことで、薬品を酸化から守る包装が施されます。また、紫外線などの光線から保護するためにアルミ箔やアルミを蒸着させたフィルム、紙などといった不透明な材質を使用したり、紫外線を吸収する作用があるフィルムなどを使うことで中の薬品が変化しないような工夫がされています。